太鼓の達人を極める人々の「技術」に迫る

皆さんは太鼓の達人というゲームはご存知でしょうか。バンダイナムコエンターテインメント音楽ゲームですが、2001年に稼働し始めたので今年でもう15年ですね。今回私は太鼓の達人を数十分前にプレイしたところ、唐突に皆さんに太鼓の達人を極めている「ドンだー」の方々が日々どのようなことをして、どのような事を考えて今の上手さに到達しているのかを伝えたくなったのでブログを早速書いています。

※なお、私が本格的に太鼓の達人をやっていたのは数年前のことなので、ここ最近の流れは追えていないです。

皆さんの知っている「太鼓の達人

ここで言う皆さんとは太鼓の達人を極めたり定期的にプレイしてるわけではない人たちです。私が思うに、皆さんの太鼓の達人のイメージは少しづつ変わっていると思います。

初期 (2000年~2005年頃)

主に子供向けだけど、親の世代の曲もちょくちょく入っていて親子で楽しめるゲーム。
(私はPS2の「太鼓の達人 あっぱれ三代目」を持っていましたが、パラダイス銀河とか収録されてたのが印象深かったです)。
PS2『太鼓の達人 あっぱれ三代目』 | バンダイナムコゲームス公式サイト

ストレートキャップ時代 (2005年~2010年頃)

行列のできる法律相談所という番組のある回で通称「ストレートキャップ」と呼ばれていた(おそらくハンドルネームはすみれさんだったと思います)が太鼓の達人のパフォーマンスをしていました。この時彼は鬼コースの紅という曲をダブルプレイでやっていました。ちょうど2005年頃に電車男ブームもあって、世の中には「オタク」という人たちがいるんだという認識が広まっていた印象です。恐らく皆さんもこれを見て、太鼓の達人は子供向けではあるけども、一部のオタクな人たちがこうやってタブルプレイなどをしていて、その中でも紅がもっとも難しい曲でこのストレートキャップの方がトップレベルにすごいのだろうというイメージになったと思います。

男性アイドル時代 (2010年代)

関ジャニの仕分け∞という番組で嵐というアイドルグループの櫻井翔さんが太鼓の達人を練習していて、色んな人と対決していました。これにより、太鼓の達人の鬼コースはいわゆる一部の「オタク」な人達だけではなく、櫻井翔さんのようなアイドルでも出来るものだというイメージが広がったのかなと思います。

という感じで勝手にまとめましたが、実際「鬼コース」が出来るひとたちは何故あれができるのか。何故譜面がみえるのか。何故腕が追いつくのか。何故疲れないのか。色んな疑問があると思います。私は普段から鬼コースをやっていて、マイバチも何本か所持していた経験があるので色々と説明しようと思います。

鬼コースまでの道のり

まずいきなり鬼コースの曲をやれといって出来るひとはほとんど居ないと思います。元々音楽やってる人、それこそ本物の太鼓を叩いてるひとやドラマーにいきなり太鼓の達人の鬼コースの曲をクリアしてくださいと言っても多分できないです。完全に別物なので。というわけで、最初はみんな同じです。

「譜面が見える」ようになる

これは一体どういうことなんでしょうか。実は私はたまに太鼓の達人やっているところを「普通の人」(普段からやっていない人)に見せる機会がそこそこあるのですが、決まって皆「譜面がみえない」というのです。つまり私が鬼コースの「紅」をやろうが「十露盤2000」をやろうが、見てる人からすると曲の難易度の「差」を理解する以前の問題で、まず譜面自体が追えていないのです。ふと言われて私も初めて気づきましたが、私も鬼コースをやり始める前、高難易度な曲をプレイしている人の腕や画面を見ても何が起きてるか全くわかっていなかったです。ただただなんだかわからないけど凄いとしかいい表せないような感じですね。
つまりどういうことかというと、普段我々は赤や青の丸が画面を大量に横切る状況にないので、いきなりドドカカドカドカって流れてきても何が起きてるかわかりません。冷静に考えたらそうですね。ですがしばらくプレイしている間に脳もその状況に慣れてくるのか、段々判別がしやすくなってくるのです。この「見える」状態になるまでは人によってはある程度時間がかかると思いますが、ここまで来れば結構楽になってくるのではないかと思います。

譜面が見える利点とは

主に以下の利点があります。

  • 何を叩けば良いのかがわかる
  • ぴったり重なるタイミングを狙いやすくなる、「良」が出しやすくなる
  • どうしても叩けない部分を振り返って練習しやすくなる

譜面がみえないとうまくなりようがないですね。

譜面が見えるようになるには
  • 沢山プレイする
  • 沢山動画を見る

とにかく譜面が流れてるのを見ていれば目や脳が慣れてくるのではないかと思います。ゲームセンターで何度もプレイするのはお金が勿体無いという方は家庭用ゲームを購入して家で沢山練習するなり、プレイ動画をYouTubeなど見るなりすると良さそうです。

腕の振り方を見直す

ふつうコースやむずかしいコースをプレイして、「手が痛い!」「腕疲れた〜」と言っている人をよく見かけます。その調子では鬼コースの曲をクリアするのはとても厳しいので腕の振り方を見直す必要があります。私も鬼コース始めたばかりの頃は手が血だらけになってました。手に力が入りすぎてたようです。

理想的な腕の振り方
  • 「太鼓」ではなく「ドラム」を叩くイメージで腕全体ではなく手首を振る
  • マイバチではなく備え付けバチならある程度重さがあるので、「振る」というより「落とす」「当てる」イメージでやってもちゃんと反応してくれるので力を温存できる

軽いマイバチを使えば解決できると思う方もいると思いますが、それは単に問題を先延ばししているに過ぎず、必ずある時点で厳しくなってくるので温存の仕方を覚えることをお勧めします。鬼コースの最難関レベルの曲も備え付けバチでクリアは可能なはずです。

自分のスタイルを決める・パターンを理解する

最初のうちは気がつかないと思いますが、太鼓の達人の譜面はある程度規則性があります。とにかくまずは色んな種類の曲を(自分の好きな曲から始めても良いですが、満遍なく上達したいならばとにかく色々)やりましょう。そうするとむずかしいコースに入ってくると二連符や三連符が登場することに気づきます。こういう譜面が突然流れてきたときにどう処理するのか、その場でとっさに決めても良いですが、ある程度前もって決めていたほうが考えることを減らすことができて、もっと他のことに集中しやすくなります。ということでスタイルを決めましょう。

色々なプレイスタイルがある
  • 片手メイン。基本的に全部片手で処理して、連打のときとかのみ両手使うスタイル。初心者に多い気がします。かんたんコースやふつうコースならこれで良さそうですね。
  • 完全左右分業。例えば「ドン」は必ず右手で、「カッ」は必ず左手で叩くような感じです。最初のうちはこれが良さそうですね。
  • 完全左右交互。曲の最初から最後までひたすら交互に叩く。やってる・やれる人は少なそうな印象です。
  • ヴァーナス。単音は利き手で処理して、連符は利き手始動だけど交互で叩くスタイルです。精度*1が取りやすいので上級者がよく使ってたりするけど、利き手が結構疲れます。

上記以外だと、例えば私はたまに、「単音は左右分業だけど、連符は利き手始動左右交互で、だけど連符が続いて疲れる場合は逆手始動でやる」スタイルをとってたりする。もはやよくわからないですね。とにかく、譜面を見たこともない上に曲も聴いたことすらない場合でも対処できるようにスタイルを決めておくと良さそうですね。

鬼コースを制する「鬼」ドンだー達

むずかしいコースを大体制覇して、残すところは鬼コースのみという気分かもしれませんが、実はここからの道のりがとても長いんです。多くの人は恐らく鬼コースの低難易度曲をプレイできるようになるまではそこまで時間を必要としないと思いますが(もちろん個人差あり)、ここから更に鬼コースの高難易度ができるまでにかかる時間と努力は比ではないかと思います。本人の意欲とかも関係してきそうです(鬼の曲ちょっとできるようになったしもうやめても良いかな、って思ってるひとはもうそれ以上上達しづらいです)。具体的にどういった点が難しいのでしょうか。

連符のパターンの見極め力

鬼コースの低難易度の曲までだと、せいぜい四連符くらいまでしか登場しないと思います。これくらいだとまあ全部のパターンを練習するのもむずかしくないと思います。例えば二連符だとドド、ドカ、カド、カカの四種類だし、三連符だと同じ要領で八種類という感じですね。ですが高難易度になってくると平気で十連符以上登場したりするので、練習どころじゃないです。こういう場合どうすれば良いのかというと、譜面を見極めて、ドンが何個連続で続いているのか、偶数なのか奇数なのか、などを考えて、利き手で入るか逆手で入るかなどを瞬時に考える必要が出てきます。ドドドカドカカのような譜面だと、利き手始動(私の場合右手)だと、最初の「ドン」の数が奇数なので、次の「カッ」は逆の左手から入る必要があるというのがわかります。このようにするとどんなに長い連符にも対応できます。

腕の振り方などを更に見直す

ここまで、「連符」と言ってましたが、基本的には16分音符のことを指していました。ですが鬼コースの高難易度な曲になってくると、24分音符、32分音符なども登場することがたまにあるので最初は戸惑います。ドドドドドドドドドドって感じですね(伝われ)。今までの腕の振り方では間に合わないかもしれないので更に腕の振りを小刻みにするか、バチの反発を利用した「ロール*2」というものをするのもアリですね。

精度だけではなく連打も意識する

これは本当にスコアを意識してからのことですが、例えばお互いに同じ曲をフルコンボして、「良」を出したタイミングや数も完全に同じの場合、勝敗を決めるのは連打数です。トッププレイヤーの方々はこの連打にもこだわっていたりします。太鼓の達人特有の特殊な連打の事を「特殊連打」と言います(そのまま)。以下、代表的な連打のスタイルです。

  • シングルストローク
    • 一般的な連打。片手につき1打叩くのを両手で繰り返す。
  • ダブルストローク
    • 片手につき2打叩くのを両手で繰り返す。単純計算でシングルストロークの2倍の連打数になる。(実際には振りが長くなるのでちょっと少ない)
    • バチお式、かわてぃ式、などがダブルストロークと言われている。
  • トリプルストローク
    • そのままですが片手につき3打叩く。縁も巻き込んで叩くイメージです。
    • ほさからくる式連打というのがトリプルストロークらしいです。
  • ロール
    • ドラムロールからきますが、どちらかというと両手一緒に大きく振りかざし、反発で何打も稼ぐのを何度か繰り返すイメージですね。

他にも色々ありますがこういう感じです。なお、実際の歴史とかは知りませんが、ダブルストロークの種類では元々は旧式ダブルというのがあり、こちらは普通にシングルストロークと同じ体勢で2打ずつ稼ぐ方法なのですが、太鼓の達人のセンサーの作りを考慮するとセンサーをまたいで叩くほうが効率が良いのではという流れになり、最近では体勢を横向きにしてバチを滑らせる感じにして叩いている人がメインとなっています。(ちょっと文章じゃわかりづらいですね)。

太鼓の達人は「ドン」と「カッ」しかないように一瞬思われますが、実際には四つのセンサーがあるので(ドン2つとカッ2つ)左右の「ドン」を一振りで反応させたほうが効率が良いのです(恐らく)。

更に言うと、「バチを滑らせる」と言いましたが、そう簡単にバチは太鼓の上を「滑らない」ので、自分で布を持参して太鼓の上にかぶせてからプレイをする人もいます。摩擦を減らしてバチを滑りやすくすることによって、この特殊連打をしやすくしているのです。特殊連打のためだけに、マイバチの材料や長さ、太さ、テーパー具合を考える人も少なくありません。

連打の測定には「もりのくまさん」が最適と言われています。約1秒の連打が10個あるので、平均秒速が測定しやすいと評判です。最初のうちは秒速20打を目標にすると良さそうですね。トッププレイヤーは秒速30打や40打近いひとたちも居そうです。実際やってみないと凄さが伝わりづらいとおもいますが。

公式から出される課題をいち早く攻略していく

元々太鼓の達人に収録されていた鬼コース☆10の曲も、今では☆8などに降格していたりします。これは日本中のプレイヤーがひたすら登場してくる「ボス曲」をフルコンボしたり、全良*3したりしているからです。製作者側も負けじと更に難しい一見無理に見えるような譜面を作って出していきますがプレイヤー側も諦めずにどんどん攻略していきます。未知の領域でも絶対に倒していく意気込みでやっていないとここまで上達はできなさそうですね。

ゲームに無い課題を自ら作り、乗り越えていく

普段太鼓の達人プレイしていても、基本的に「ノルマクリア失敗」「ノルマクリア成功」「フルコンボ」などの状態しか目にしないとおもいます。連打秒速など特にシステム上では教えてくれませんが、プレイヤー側が勝手に自分たちで測って競い合ったりしています。こういう風にトップの人たちは課題がなくても自分たちで作り上げて乗り越えていってます。何もなくても上達しているのです。全曲全良するのが目標だったりです。他にはNN(ノークリアノーミス)というのもあります。これは、フルコンボではあるけどもノルマクリア失敗の状態です。一体どういうことなのかという気持ちですが、鬼コースだと極端に精度が悪い状態でフルコンボをするとクリア失敗することがあります、上級者はこれを狙って出して遊んだりしています。つまり「全可」を目指している感じですね。

これを仕事に置き換えると

私もそれなりの時間を太鼓の達人につぎ込みましたが、実際現在のエンジニアの仕事に直接メリットはなさそうです。それでも学ぶことは色々あるとおもいます。まとめると多分こんな感じですね。

  • 目標に向かうためのマイルストーンを立てることが大事
  • どんなことでも振り返りをしっかりするとより効率良く成長できる
  • 自分の近くの世界だけではなく、もっと広い視野をもって周りをみると様々な発見がある
    • 固定概念にとらわれない

たかがゲーム、と思われるのも理解できます。ですが、暇つぶしにちょっとだけやるのではなく、こうして真剣に取り組んでみると学びは沢山あり、特に他人と関わるタイプのゲーム(直接対戦じゃなくても、スコアを後で見せ合ったり、攻略方法を話し合ったりする感じでも)は色々と勉強になることが多いとおもいます。予想以上に長い記事になりましたが私からは以上です。

*1:「良」の数や割合の事

*2:ドラマーがやるドラムロールというのからくる演奏法

*3:フルコンボでかつ全て「良」判定